蓮田病院

健康セミナー 平成22年分Healthy seminar list

 ☆は現在在職しておりません。    

第181回:風邪には水うがい

 
外科 高畑 太郎 ☆


 うがいとは水や薬を口に含み、喉や口の中をすすいで吐き出すことで、語源は鵜飼からきています。日本では平安時代から風邪の予防や治療にうがいが行われてきました。
 しかし、世界的にみて風邪の予防や治療にうがい薬が処方されているのは日本だけのようです。なお、風邪の感染予防には手洗いが推奨されています。
 2005年に京都大学の川村教授らのグループが、風邪の予防には水うがいが有効で、何もしないグループに比べて約4割風邪をひく確立が低く、またヨード液でうがいをしたグループは何もしないグループと発症率に差がなかったという研究結果(すなわちヨード液によるうがいは無意味)を発表し、話題になりました。
 なぜこのような結果になったのでしょうか。
 感染力の強い風邪のウイルスの多くはRSウイルスというウイルスで、感染経路は手です。人間は手で顔のあちこちや口を触ったりするので、手洗いが感染予防には重要で、口の中を殺菌するからという理由ではなく、口の中あるいは周辺を洗い流すということが感染予防に効果的であったと考えられます。
 ヨード液によるうがいが効果を示さなかったのは、ヨード液そのものによる口の中の粘膜障害やヨード液による感染予防御機構の破壊などが考えられます。さらに、ヨード液は口の中のタンパク質の影響で、その殺菌力は著しく低下することがわかっています。
 これから風邪やインフルエンザが流行する季節になりますが、手洗いと水うがいを習慣づけられるとよいと思います。




第180回

 
整形外科 森田 裕司 ☆


 一般に、約8割の人が一生のうちに腰痛を経験すると言われてます。そして、残りの2割の人は腰痛を経験したことを忘れているとも言われます。重力のある環境で、立って生活する以上、生涯腰痛を避けて通るのは困難です。
 ところで背骨は、生理的湾曲と呼ばれる緩やかなS字カーブを描きます。首と腰は前方に凸、背中は後方に凸の曲線をとり、立体バランスをとっています。年を重ねるとこのカーブが乱れてきます。
典型的には腰の前方凸のカーブが消失し、背中から腰が後方凸になる姿勢です。このような姿勢になると腰痛、膝痛、肩こりが出現します。姿勢を正すことで、これらの症状を軽減できるのではと考えています。
 姿勢を正すとは立位バランスとることです。簡単に知る方法は、壁に背中を当てて立ってみることです。
後頭部、背中(の一部)、お尻、踵が壁に付くようにして立ちます。
でも、いつも壁に背中を当てていることはできませんね。
そこで、私が行っている良い姿勢をとるポイントをお話します。それはまず、骨盤を意識することです。左右の前上腸骨棘(ベルトがかかる骨の突出部)と恥骨結合(両側の足付根のしわが交差するところにある骨の突出部)を結んで出来る三角形を含む面が地面に対して垂直になるようにします。そしてお臍が背中につくようにおなかを凹ませます。後は骨盤の上で背筋を伸ばすだけです。
 私自身、腰痛、膝痛、肩こりを予防できればと良い姿勢をとるように日頃から心がけています。みなさんもこれをきっかけに良い姿勢を意識されてはと思います。




第179回:胃内視鏡(胃カメラ)による胃癌手術

 
内科 吉田 正史 ☆
(日本内科学会認定医 日本消化器内視鏡学会専門医/指導医日本消化器病学会専門医/指導医
厚労省認定臨床研修指導医)
    

 今回は胃癌の治療についてのお話です。いくら医学が日進月歩とは言え全ての胃癌が内視鏡で治療出来る様になったわけではありません。しかし内視鏡による胃癌手術は確実に増えています。
胃癌の治療には、いわゆる手術、内視鏡的手術、化学療法(抗癌剤)があります。では内視鏡的手術の適応はどの様に決まるのでしょうか?
胃の壁は地層の様になっていて内側から粘膜層、筋層、しょう膜となっています。
内視鏡手術の適応となるのは、癌の根っこが胃の一番表面にあたる粘膜層にあるものです。ここまでは転移(癌が胃以外に広がる事)が無いからです。粘膜層より根っこが深くなると胃癌を取っても後から転移する事があるため、手術の適応になります。
以前から内視鏡的手術はありましたが、根っこが浅くても大きいと内視鏡では手術できませんでした。しかし、切開剥離術という手術法がここ十年ほどで広がり根っこが浅ければ内視鏡で手術が可能になりました。胃を切らず癌の部分だけを取るので胃が小さくなってしまうことはありません。勿論、お腹にも傷跡は残りません。では内視鏡手術はどんな手術なのでしょう。内視鏡で癌を観察し、切除する部分を囲む様に電気メスを使って切れ目を入れます。次に魚の皮を剥ぐ様に電気メスで粘膜を剥いでいきます。つまり、胃から癌をくり抜いてしまうのです。くり抜いた部分は潰瘍になりますが潰瘍の薬を飲めば元通りに治ってしまいます。
胃内視鏡を定期的に受けていれば早い時期に胃癌を見つけられ、内視鏡で手術できる可能性が高くなります。

 

第178回:突発性難聴

 
耳鼻咽喉科 合津 和央(日本耳鼻咽喉科学会専門医)
    

 耳の一番奥にある内耳の病気で、ある日に突然難聴が始まりますが、明らかな原因が不明のものを突発性難聴と呼びます。
「朝起きたら片耳で耳鳴がして音が何も聞こえなくなった」というのが典型的な症状です。片耳だけの難聴では難聴が軽いと病気の自覚がはっきりしないことが多いので、実際気づくのは高度の難聴が多いです。約半数の患者さんでは同時にめまいの症状があります。
2001年の日本全国の調査では1年間に35,000人発症したとの報告があります。現在の発達したCTスキャンなどの画像診断も、まだ大きさたかだか数mmの内耳の内部構造を調べられるだけの精度はありません。
耳の細かい構造を十分に調べるには顕微鏡が不可欠ですが、耳を摘出しないと顕微鏡で見ることはできません。実際の患者さんの内耳を顕微鏡でみることは当然できないので、これが診断にも治療の上でも大きな妨げになっています。
原因が分からないために治療は経験に基づいたいわば手探りの治療しかありません。
このため症状が完治する割合は3割程度しかなく、難病といえます。
 耳の炎症を抑える効果のあるステロイドホルモン剤を1週間程度点滴するのが標準的な治療です。ストレスをきっかけに症状が起こることが多いと言われており、安静のため入院で治療を行う場合もあります。
少しでも治る確率をあげるためには症状が出てから1週間以内に治療を開始することが望ましいとされます。1ヶ月以上治療しないで放置すると治る確率はほぼ0%となり、たいがい一生後遺症が残ることになります。
突発性難聴を治すチャンスは最初の1回しかありません。放っておけばそのうち治るだろうは禁物です。ご自分の耳がおかしいと思ったら一刻も早く耳鼻科を受診してください。

    

第177回:医療被曝の考え方

 
診療技術部長  松尾 直人


 放射線は痛くも熱くもない目に見えない光線です。
それだけに患者さんはどこにどれくらい被曝したか実感がないので、ことさら医療被曝に対して恐怖心や不安を抱かれるのではないでしょうか。皆さんが日常的に受ける放射線被曝は宇宙や大地からの自然放射線を浴びる公衆被曝と医療機関等における放射線検査や治療等での医療被曝に大別できます。
放射線の線量的に考えますと、公衆被曝で世界平均一年間に2.4mGy程度(mGyミリグレイ:放射線吸収線量)。
また宇宙からの放射線は高度1,500mで2倍に、東京-ニューヨーク往復で0.19mGy程度になるといわれています。
一方、医療被曝においては、内容にもよりますが主に部分照射で1回あたり0.05から50mGy程度の低線量範囲(原爆データを基にした統計的に有意なリスクの増加を証明できない200mGy以下の範囲)とされています。
また、身体に重大な影響を考える閾値(影響が1から5%の確率で発現する線量)は数千mGy以上とされ、これは非日常的で特異的な被曝環境下でのみ考慮されるべきことです。
ですので、日常の公衆被曝や、医療被曝における身体への重大な影響を過剰に不安視する必要はありません。
しかし放射線を照射すれば微量でも必ず被曝するわけですから、妊娠初期の放射線検査はできるだけ避けたほうが賢明ですし、被曝の影響をまったく無視するわけにはいきません。
そこで、各医療機関では医療被曝低減のために担当技師が放射線被曝防御のⅢ原則『遮閉・距離・時間』を踏まえ、また近年では放射線診療における線量低減目標値『医療被ばくガイドライン2006』に沿って各装置の性能を駆使し線量適正化の実践に取り組んでいます。
医療被曝を考える際は身体の病態をきちんと把握するといったメリットの法が被曝のリスクよりも御自身にとって非常に大きい意義があることと理解され安心して検査を受けていただきたいと思います。

第176回:唾液の流出障害が原因で発生する粘液のう胞

 
歯科口腔外科 田中 憲一

 「痛みは無いが、くちびるにできた水ぶくれがしだいに大きくなってきた」と訴えて来院される方が多くいます。これは、小唾液腺の流出障害が原因で発生する粘液のう胞という疾患が考えられます。唾液をつくる主な器官である大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)のほか口唇や舌の粘膜下には、ゴマ粒大の小唾液腺が多数あります。この導管の閉塞あるいは狭窄により発生する場合と導管の損傷により唾液が漏出して発生する場合が考えられています。歯による刺激や外傷を受けやすい下口唇に好発し、正常な粘液に被われた透明感のあるやや青紫色の半球状の膨隆として認められ直径数㍉から1㎝程度の大きさになります。咬んで潰れると内溶液を排泄しますが、原因となっている小唾液腺が残っているため粘膜が治癒すると再度貯留し再発します。治療法としは、原因となっている小唾液腺を含むのう胞摘出術が施行されます。のう胞上の粘膜を切開して周囲の組織よりのう胞をはく離摘出します。その際に周囲の小唾液腺も摘出すると再発の予防になります。外来通院で20分程度の手術であり術後の腫れや痛みも僅かです。まれに、大唾液腺の舌下腺が原因で口腔底部(下顎前歯と舌の間)に大きな粘液貯留のう胞が発生することがあります。これは外観がガマ蛙に似ていることからガマ腫ともよばれます。これはのう胞壁が薄く判りにくいためのう胞壁の一部のみ切除して潰す開窓療法が主に適応されます。これらの手術は、病巣が小さいほど容易であり、術後の腫れや痛みも少ないので早期に処置することをお勧めします。
 

第175回:歩く

 
腎センター 山田 剛久


 長寿国日本は超高齢化時代を迎えております。老いてなお健康に生き抜くのは並大抵の事ではありません。では「生涯現役」を全うするのにはどうすればよいのでしょうか。私は日頃から患者様に「歩く」ことが生涯現役の必須要件と説明しています。少しきつめの早歩きを20分も続けると人体は酸素を十分に取り込んで体内の酸素消費量の増加に応えようとします。取り込まれた酸素が脂肪を燃焼する仕組みは「有酸素運動」の名で広く知られていますが、メタボリックシンドローム対策として「歩く」は一番のお勧めです。この一見単純な「歩く」行為は継続性や経済性の観点から最も優れたダイエット法であると同時に心血管病変(狭心症や心筋梗塞)や脳梗塞に代表される脳血管病変を予防するのに役立ちます。高脂血症や高血圧の治療薬は年々改良されていますが、人間に本来備わった機能である「歩く」は中高年層が生涯現役で居続けられるかどうかの重要なポイントになります。脂肪燃焼以外にも「歩く」には様々な効能があります。歩くことで全身の骨格筋が発達します。骨格筋は肘や膝の周囲にあって骨や関節の位置を保持する役目を果たしていますが、骨格筋が発達することで骨折や関節症の発症を予防します。また歩くことで周囲の景色が刻々と変化し交通事情にも配慮しながら行動しますので方向感覚や空間認知能力の老化を防ぐのに有用です。室内で黙々とマシーン相手もよいのですが天気の良い日は屋外で歩くことをお勧めします。

第174回:新しい胃がん検診について

 
外科 濱田 節雄
(指導医・専門医・認定医:日本外科学会 日本消化器外科学会 日本消化器内視鏡学会 日本大腸肛門病学会
日本消化器病学会 日本乳癌学会認定医)


 日本人のがん死因のうち、現在胃がんは第2位です(ちなみに第1位は肺がん)。しかし、胃がん検診を受けた人々は受けなかった人々と比べ、胃がん死亡の危険性は半分位まで減っています。現在まで、胃がんの検診には胃バリウム検査や胃内視鏡検査が行われてきました。最近、血液検査でピロリ菌の感染の有無と胃粘膜の萎縮の程度を調べ、その組み合わせによってどの程度胃がんになりやすいか、なりにくいかを判断する検査法が注目されています。
 胃がんにはピロリ菌感染が深くかかわっていて、胃がんになる危険性は感染したことのない人の約10倍とされています。ピロリ菌感染によって胃粘膜の萎縮が進むほど、胃がんが発生しやすくなります。また胃粘膜が萎縮するとペプシノゲンという物質の分泌量が減少します。この血液中のペプシノゲンの濃度が基準値以下の人は基準値内のヒトと比べ6~9倍胃がんになりやすいとされています。ピロリ菌に感染していなくて、ペプシノゲンの濃度が基準値内の人は胃がんになりにくい訳です。このピロリ菌の感染の有無と血液中のペプシノゲンの濃度は1回の血液検査でわかります。その結果胃がんになりやすい方には内視鏡検査をおすすめしています。更に血液検査では胃がんになりやすい程度もわかりますので、内視鏡検査の必要な間隔も決まってきます。またピロリ菌に感染していても薬で除菌できる可能性が高いので医師にご相談ください。


第173回:~糖尿病と血管合併症~

 
内科 出来 尚史
 ☆

 糖尿病は合併症や関連疾患の多いことで知られています。なかでも血管合併症は重大です。進行すれば生活に支障をきたし、場合によっては命に関わることもあります。血管障害の予防や進展の阻止が糖尿病治療の重要な目標になっているのはこのためです。
 血管合併症には細小血管症と大血管症の二種類があります。前者は糖尿病に特有の障害で網膜症、腎症、神経障害を含みます。このうち網膜症は眼底の細い血管に変化を生じ視力低下をきたす病気です。放置すれば失明の危険もでてきます。腎症ではむくみ、だるさ、貧血などの症状が現れます。腎臓は体の老廃物を処理する大切な臓器です。末期の腎不全に陥ると生命を維持するために人工透析が必要となります。また糖尿病の神経障害は全身に及ぶため、手足のしびれ、感覚異常、立ちくらみ、排尿障害、下痢、便秘などさまざまな症状が現れます。
 後者の大血管症は動脈硬化性病変を特徴とする合併症です。心臓、脳の血管障害は狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、しばしば重篤な結果を招きます。一方で下肢の血流不足は歩行障害や足の難治性潰瘍、壊疽の原因となります。
 以上挙げた血管合併症はいずれも糖尿病のごく初期の段階から始まることがわかっています。症状がないからといって油断は禁物。定期的な通院で自分の状態を把握しておきましょう。合併症を予防し、あるいは進展を阻むためには、血糖の良好なコントロールは不可欠です。また同時に、病状を悪化させる高血圧や脂質代謝異常の管理、肥満の改善、禁煙などにも気を配る必要があります。



第172回

 
外科 兼子 順(日本外科学会認定専門医 日本消化器外科学会認定医 厚労省認定臨床研修指導医)


 大腸は、小腸から続いた肓腸から肛門までの約1.5~1.8mの消化管です。
大腸がんは大腸の粘膜にできる悪性の腫瘍で、S状結腸と直腸に多くみられます。ポリープの様な早期のものから、腸を塞いでしまうような進行がんまで様々な種類・段階があります。
 大腸がんは症状だけで気付くのは難しいといわれています。気をつけたい症状は、「出血」と「下痢や便秘などの便通異常」です。出血は排便時に便に血が混じったり、血の固まりが出たりします。色はやや黒ずんでいることが多く、血液と一緒に粘液が混じっていることもあります。こうした出血は直腸がんに多くみられますが、痔からの出血だと勘違いする場合もあります。痔の場合は排便時に真っ赤な血がポタポタ便器に落ちたりするのが典型的な症状です。症状や血の色だけで疾患名を決めつけるのは危険です。
 がんが大きくなると腸の内腔ががんの占拠によって狭くなり、排便が思うようにいかなくなり、下痢や便秘を繰り返すようになります。腸の内腔ががんの占拠により狭くなることに伴い、便が細くなるというのも大切な自覚症状です。
 注意したいのは、これらの出血や便通異常などの症状は必ずしも毎日見られるとは限らず、一時的になんともなくなってしまうこともあるということです。こうしたことからも、「便潜血検査」は大腸がんの早期発見に役立つことが分かります。出血や便通異常が続くときは、医師の診断を仰ぎましょう。また、検診年齢に達したら、検便による「便潜血検査」をお勧めします。



第171回:―口角炎―

 
歯科口腔外科 秋月 弘道(昭和大学客員教授 日本口腔外科学会専門医/指導医 介護支援専門医)


 口角炎とは、口角と呼ばれる口唇の両端の部分に亀裂が入ったり、ただれたりすることをいいます。食事や会話のときに、口を開けるたびに口角が裂け、痛みを伴い、出血することもあります。繰り返しておきて、なかなか治りません。口角炎は、様々な原因がかさなって起こります。口角炎の原因は、カンジダや細菌、ウイルスの感染を伴っているものがほとんどです。全身的な要因として、ビタミン不足や糖尿病、貧血、悪性腫瘍など全身の抵抗力を下げる基礎疾患があげられます。また、局所的な要因としては、よだれが出ていたり、唇を舐める癖がある、歯がなくなったり、入れ歯が低くなり噛み合わせが深くなって口角に深いしわができることなどがあげられます。カンジダが原因の場合、白い苔のようなものが付着し、ただれがあります。ブドウ球菌や連鎖球菌の感染によるものでは、黄色のかさぶたができたりします。ヘルペスウイルスによるものでは、水疱性のぶつぶつができてから口角炎が起こります。細菌検査をすれば菌を確定することができます。口角炎の治療は、カンジダ、細菌、ウイルスなど原因がわかれば、それぞれ抗真菌剤、抗菌薬、抗ウイルス薬が含まれる軟膏を使用します。長い間なかなか治らない口角炎はカンジダによることが多いようです。口角のしわが深くなっている場合は、噛み合わせの高さを改善しないと治りません。口角炎が長期化している場合は原因を検索して治療することが必要です。専門の病院の受診をお薦めします。


第170回

 
理事長 前島 静顕(東京医科歯科大学大学院臨床教授 日本外科学会認定指導医 日本消化器外科学会認定医)


 新年明けまして、おめでとうございます。早いもので21世紀も十年経過しました。一昨年に始まった世界規模での経済破綻がさらに深刻になり、将来への不安が増しています。それでも人々は明るい未来を夢見て生き続けています。特に健康管理面では世界規模で年々平均寿命が延び続けています。その中でも日本の平均寿命は過去20年間常時、世界のトップクラスであると同時に、健康寿命が世界一であるとWHOから報告されているのです。しかし私共臨床医療に携わる中で強く感じている事は、是非改善すべき課題が実に多い事であります。①診療拒否や救急車のたらい廻しはなぜ増えているのか?またその対策は?②医師不足と言われて久しいがその原因は?またその対策は?③3時間3分診療の原因は?対策は?④日本の医療レベルは世界各国と比較してどうか?⑤日本の医療費は高い?その他まだまだ多くの課題がありますが、今回は①~⑤につきコメント致します。
 ①これは近年の医学教育の細分化・専門医志向にも大いに関係します。医療側も患者側も専門医を求めるようになりました。内科でも外科でも消化器・循環器・呼吸器など細分化され、専門医のみが診療を担当する事になると同じ内科医、外科医でも専門外は診ない事になるのです。特に夜間帯となると、当直体制となると極く限られた人数の医師のみでは全科の診療は出来ない事になります。昔は一人の医師が何でも受け入れていた時代とは全く違ってきたのです。全科の患者様を受け入れるには全科の医師の当直が必要となりますが医療財源が到底確保出来ません。総合医を育成し、専門医と同等に尊重される社会全体の風潮が望まれます。
②医師不足の認識は正しくないのです。全国の病院の勤務医不足と言うのが正しい認識です。勤務医の多くは、8時間労働は絶対不可能であり、定期的な当直、休日出勤、緊急対策など超ハードな毎日です。これが勤務医から開業へと向かう原因となる事がしばしばです。
③多くの病院では外来診療は予約制でありますが、30分で5~6名の予約が標準的ですが、最近の風潮でインフォームドコンセントが当たり前になりました。医師の十分な説明と治療法など患者サイドの自己決定権です。しかし私の個人的見解では厳密な意味ではこの事は多くの無理が含まれていると。これの実践のためにどれだけ長い時間が費やされているか、そして結局詳細な説明が多くの場合理解されてないかを、我々医療側も受ける患者様側も知っておかねばならないと思います。
④⑤これは間違いなくトップレベルです。それに比較して医療費は各国比較では非常に低いのです。ちなみに同じ手術費でも日本の料金はUSAの1/4~1/6、英国やドイツの1/2~1/4、中国や韓国よりも安価であります。より安全で納得出来る医療が可能となる方策の最大のものは医療財源の十分な確保でしょう。そして患者様方の医療の現状に対する深い御理解と御協力が是非是非必要な時に至っているのです。

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