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『腹膜炎について』

  • 2024.05.20

外科 長谷川 久美

 今回は腹膜炎について説明します。腹膜は、胃・腸・肝臓などお腹の臓器の表面を覆う膜のことで、通常は無菌状態です。お腹の臓器の炎症が腹膜に及ぶと腹膜炎になります。腹膜炎の原因は、胃十二指腸潰瘍穿孔や、腸閉塞、虫垂炎、胆のう炎などがあります。
十二指腸潰瘍穿孔では、十二指腸に穴が開いて腸内容液が腹膜側に漏れ出ます。腸内容液の腸内細菌が腹膜全体に及ぶと、炎症が腹部全体に広がる汎発性腹膜炎になります。その状態が続くと、細菌の毒素が腹膜から血流を通って体全体をめぐり、細菌性ショックといって、肝臓腎臓の機能にダメージを与えて多臓器不全となります。
 腸閉塞で、腸が単につまっただけでは腹膜炎になりませんが、ねじれ具合などで腸の血流が悪くなると、腸が腐って(壊死)炎症が腹膜に及び、やはり腹膜炎となります。腹膜炎を来した腸閉塞では、腸が腐っていると判断され、緊急手術が行われます。
 このように腹膜炎は、すばやく外科治療(手術)を検討しなくてはならない緊急事態といえます。時に致命的になることもありますが、最近の腹部CT検査では、かなり迅速に正確に腹膜炎を診断することができ、適切な手術によって救命できる場合がほとんどです。急にひどくお腹が痛くなったら、腹膜炎のこともありますから、すぐ病院へ来てくださいね。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
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