麻酔科 上田 朋範
2023年6月の記事では入院・手術が必要となった時の病院選びの基準について、自宅からの交通アクセスが重要である点をお伝えしました。
とはいえ、手術となる病気は様々で、骨折、扁桃炎、がんなど様々な場合があり、それぞれの場合でもどこの病院を選択するかは非常に重要なポイントとなります。今回はご自身の病気ががんであると判明した場合、あくまでも一般論としてですが、どのように病院を選ぶかの選択肢を三つ提案いたします。
まずは近隣のクリニックの医師に相談する事です。初診では近くの医療機関を受診するメリットが大きいのは当然ですが、クリニックの医師は日々必要に応じて患者さんを様々な病院に紹介しています。同じ地域の病院のそれぞれの強みを知っているので、患者さんが自力で調べるよりもはるかに確実性の高い情報が得られます。
次に自宅からアクセスの良い病院を選択肢に入れる事です。術前の検査だけではなく術後の定期通院と診察、治療が必要となります。最近は化学療法(抗がん剤治療)も外来通院で行うのが一般的で1〜2週間に1回ほど病院に通う必要も出てきます。自宅から遠いと往復だけで体力が奪われ予定通りの治療を続ける事が難しくなります。
最後にがん治療を専門的に行っている症例豊富な病院を選択肢に入れる事です。ただし、大きな病院ほど勤務する医師が数年ごとに入れ替わる事が多いので過去の症例が多いからと言って将来もその豊富な症例数が維持されるとは限らないのが難点です。
いずれの場合でも、病院の選択は非常に困難です。迷った時はかかりつけの病院で相談する事を強くお勧めします。