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健康セミナー
2018年分

☆は現在在職しておりません。

第277回:『分子標的薬によるがん治療』

内科 西田 淳二
(内科認定医)

 私が医局に入局した1980年代前半に科学雑誌ネイチャーが東京でシンポジウムを開催し、そのメインテーマはタンパク質分子の立体構造でした。当時は遺伝子の研究が盛んで、浅学だった私はタンパク質の立体構造の何が面白いのだろう、と大いに訝ったものです。時は流れ、2003年にヒトの全遺伝子構造が決定され、病気の元になるタンパク質分子を標的とした分子標的薬が続々と開発される時代になってきました。分子の立体構造をコンピュータで再現して、その働きを立体的に抑える薬を開発するのです。特に注目されているのががん領域です。がんは正常の細胞が遺伝子変異を起こし、その変異遺伝子から出来た異常タンパク質が悪さをして発症します。血液がん領域で分子標的薬が最も成功した病気は慢性骨髄性白血病です。骨髄移植をしないとほとんど100%、骨髄移植ができても50%くらい死亡した病気が、内服薬だけで90%の人が生存し続けられるようになりました。慢性骨髄性白血病のように遺伝子変異が1個だけの病気はそれを抑える薬が劇的に効きますが、通常のがんは遺伝子変異が何個もあり、また同じ種類のがんでも患者さんが異なると変異している遺伝子が異なっていることもあります。多数の遺伝子変異を調べるのはお金も時間もかかり大変でしたが、最近は検査技術が進歩し、あらかじめがん組織を調べてそれに応じた分子標的薬を投与するという治療が可能になりつつあります。これはプレシジョン医療とよばれ、今後のがん治療の一つの方向になるのは間違いありません。

第276回:『マウスピースを利用した様々な歯科治療』

歯科口腔外科 田中 憲一

 歯科クリニックで型をとってマウスピースを製作したことがある方も多いと思います。歯・歯肉・頬粘膜・アゴの骨を保護したり、治療するために製作されるマウスピースはその目的によって形態、材質が異なります。例えばハードタイプ・ソフトタイプ・上顎だけもしくは下顎だけ・上下顎一体型・バネがついた装置などがあります。
 マウスピースは以下のような疾患の治療に応用されています。1.歯ぎしりをする、アゴが痛い、口の開閉時に雑音がする状態を改善させる2.治療を受けた後、さし歯が取れたり破折するのを防ぐ3.歯並びを矯正する、アゴの骨の発育を促進させる4.口腔内の手術後に創部を保護する5.歯周病の治療のため薬剤を口腔内に保持する6.歯を白くする(ホワイトニング)のため薬剤を口腔内に保持する7.イビキをかく、睡眠時に呼吸が止まる、低酸素状態になるのを防ぐ8.スポーツ時に歯・骨・粘膜の損傷を予防し、噛みしめる力を安定させ集中力やパフォーマンスを向上させる
 口腔内の型を取れば製作できるので痛みなどは全くありませんが、装置に慣れるのに個人差があります。
 長期間使用することにより効果がある治療法ですから定期的に調整・チェックする必要がありますが、患者様自身で取り外しや日常のメンテナンスをするため残念ながら途中で中断してしまう方もいらっしゃいます。多くの疾患で保険治療の対象となっていますが、自費による治療となる場合もありますので担当医と相談して下さい。

第275回:『便秘はひとそれぞれ』

外科 近藤 純由(いと) ☆
(日本外科学会専門医/指導医 日本消化器外科学会専門医 日本大腸肛門病学会指導医 日本消化器内視鏡学会専門医/指導医)

 便秘で悩んでいるものの、下剤をのんだらお腹が痛くなったり、下痢になってしまったりしたことはありませんか。
 これまで便秘の治療薬は便をやわらかくする酸化マグネシウムや大腸を刺激するセンノシド・センナが中心でしたが、2012年に約30年ぶりに新薬が発売されました。小腸の細胞に作用して水分分泌を促して便を柔らかくしつつ、腸蠕動を促進させる作用を持っており、腹痛や下痢を起こしにくいのが特徴です。昨年、今年と同様の作用を持つ新薬が次々と発売されており、便秘の症状に合わせて様々な薬を組み合わせることで、より快適な便通を期待できるようになってきました。便秘治療薬の選択肢が広がったのを契機に、昨年10月に日本で初めて「慢性便秘症診療ガイドライン」が刊行されました。
この治療指針では便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。つまり、排便が2〜3日毎でも十分量がでていれば便秘ではありませんし、逆に毎日出ていても十分量でなければ便秘ということになります。実際、毎日便通のある方でも腹部X線写真で多くの残便を目にして驚かれる場合もあります。
 快適な排便の目安としては、表面がなめらかで柔らかいソーセージ状の便とされており、ガイドラインでは先に述べた新薬や便をやわらかくする酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤が推奨されています。もしかして便秘かもと思われた場合は、近隣の医療機関へご相談ください。

第274回:『高齢者に適した食事』

内科 丸野 要
(日本外科学会指導医/専門医 日本消化器外科学会指導医/専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本乳癌学会認定医)

 高齢になると食欲がなくなる、噛む力が弱くなる、飲み込む力が弱くなる、唾液や消化液の分泌が少なくなる、腸の働きが鈍くなる、味がわかりにくくなる、食べ物の嗜好が変わる、便秘傾向になるなどの変化がみられます。60歳以上になると摂取エネルギー量が低下し、特に肉類を始めとするたんぱく質の摂取量が減少します。朝食にチーズやベーコンエッグ、ミルク、ヨーグルトを加えたり、昼食や夕食では野菜炒めに豚のばら肉や厚揚げ、卵を加えたり、肉料理や魚料理などの主菜のほかに、だし巻卵、おから、五目豆の煮もの、白和え、ゆで枝豆、肉団子の甘酢あんかけ、魚の南蛮漬け、おでん(卵・つくね・ちくわ)などからすきなものを1品添えることによりたんぱく質を補充します。また柚子や山椒、生姜、コショウ、ニンニクなどで味にアクセントを持たせ、梅肉、酢の物、レモンなどの酸味で食欲を刺激します。ジュースはフルーツゼリーに、口の中にはりつく海苔巻きに代えて薄焼き卵で巻くとか、噛みにくいイカやタコの刺身、ステーキは、トロやアジのたたきやペースト、ハンバーグに、ぱさつく焼き魚やゆで卵、目玉焼きは軟らかい煮魚やまとまりやすいオムレツやだし巻き卵に、繊維質の生野菜サラダは、蒸したり茹でた野菜にするなど食べやすくする工夫が大切です。高齢者の食事の目的は適切な栄養補給だけではなく、できるだけ複数の人と一緒に食事をすることにより、食生活を通して多くの人とコミュニケーションを取り、健やかな日常生活を送るということ、すなわち食を介した生活の質の改善にあると考えます。

第273回:『B型肝炎の治療が変わりました』

総合診療科 濱田 節雄
(指導医:日本外科学会 日本消化器外科学会 日本消化器内視鏡学会 日本大腸肛門病学会 日本消化器病学会 )

 B型肝炎の患者数は日本では110万人〜140万人と推定されていますが、大半は診断されていない人や治療をしていない人です。
 B型肝炎の感染診断は血液検査でします。HBs抗原が血中に見つかると診断できます。更に、HBe抗原の検査も行い、陽性の場合はウイルス量が多く、感染力が強いと判断できます。
 B型肝炎ウイルスは非常に強力で完全に排除する事が困難で、ウイルスの増殖を抑える事が治療の中心です。主な治療は抗ウイルス薬である核酸アナログ内服とインターフェロン注射です。
 核酸アナログ内服は最近行われるようになった新しい治療で、ウイルスが増殖しないようにします。核酸アナログは、副作用はほとんど無く、注射の度に通院するインターフェロン療法より通院の負担が少ないです。
 約90%の患者さんではウイルスの増殖が抑えられますが、核酸アナログを10年間服用してもウイルスが消失(HBs抗原の消失)する人は10%程度です。ウイルスが消えたようでも、服用を止めるとウイルスが再び増えて肝炎が再発する事があり、薬を止める時期の判断が難しく、一生飲み続ける人もいます。
 一方、週1回、1年間注射が必要なインターフェロン治療は免疫の働きを高めて、ウイルスの増殖を抑えます。副作用として風邪様症状がでます。ウイルス増殖抑制効果は20〜40%と高くありませんが、近年、核酸アナログ内服とインターフェロン注射を組み合わせる新しい方法が登場し、注目されています。

第272回:『救急車の適正利用』

麻酔科 上田 朋範
(日本麻酔科学会麻酔科指導医/専門医 厚労省認定臨床研修指導医 日本医師会認定産業医 難病指定医)

 夜中に突然おなかが痛くなり、動けない。こんな時どうしますか?
 多くの人はすぐ病院に行くと思いますし、それが正解です。動けないほど症状が強くても救急車を呼ぶか悩む事もあるでしょう。
 総務省・消防庁の発表によると、この10年間で救急出動件数は約30%増加し、日本全国では年間600万件近くに上っています。その内の約半数は入院を必要としない軽症で、本来、救急車を利用する必要がなかった人もいる可能性があります。出動件数が増えると、救急車が現場や病院に到着するまでの時間が余分にかかり、本来助けられた命が犠牲になった可能性も否定できません。
 そこで全国の自治体や総務省は24時間対応の救急電話相談サービスやスマートフォン向けのアプリなどを始めました。
 埼玉県では#8000、#7119などの番号に電話すれば、すぐに医療機関を受診すべきか、家庭での適切な対応方法は何か、等の内容を看護師に相談できますし、子供の急なケガや病気に対する相談も受け付けています。
 全国版救急受診アプリ「Q助」は画面をタッチし、症状を選択する事で今すぐ救急車を呼ぶべきかを分かりやすく教えてくれます。今すぐ呼んだほうがいい、となった場合はその画面をタッチすることで119番に発信もできます。
 このようなサービスを利用し、救急車の適正利用にご協力をいただきたいのですが、「救急車を呼ぶか悩んだら、迷わずに呼ぶ」は大原則です。

第271回:『「サルコペニア」と外科手術。-健康寿命をのばすために-』

外科 長谷川 久美
(日本外科学会専門医/指導医 日本消化器外科学会専門医/指導医 日本消化器病学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 マンモグラフィ読影認定医)

 「サルコペニア」という言葉は、1990年に提唱された比較的新しい造語で、加齢や疾患による筋肉量の減少、筋力の低下を指します。最近、手術前のサルコペニアの合併は、手術後の経過や抗がん剤治療の効果にも影響を及ぼすと指摘されるようになりました。筋肉量が多ければ多いほど、術後の経過は良好となります。また以前に比べ、敗血症を来たす恐れのある中心静脈栄養を安易に行うよりも、免疫力を高めるため術後早期の食事開始、経腸栄養を積極的に行うようになりました。病院では、医師、栄養士、リハビリ、看護師がチームとなって栄養管理を行い、サルコペニアの発症の予防に努めています。
 筋肉量を維持する蛋白合成のためには原料のアミノ酸が必須で、普段高齢者がサルコペニアにならないためには、まず十分な蛋白質を中心とした栄養の摂取が必要です。通常腎疾患がない場合には、極端でない限り高蛋白食が重大な副作用につながることは稀です。少なくとも多くの健康な高齢者では、筋肉での蛋白合成能は若年者と変化ないとされます。
 また筋力筋量の維持もしくは向上のためには、有酸素運動だけでは加齢による筋力低下を防ぐには不十分で、スクワットやダンベル体操など、筋肉に抵抗をかける繰り返す運動(レジスタンス)が必要です。レジスタンス運動を長期的に継続することで高齢者でも筋量の増加は可能とされます。
 普段からサルコペニアを予防して、健康寿命をのばしましょう。

第270回:『手指の痛みのお話』

整形外科 寺山 恭史
(東京女子医大整形外科学教室助教 日本整形外科学会認定整形外科専門医 日本手外科学会認定手外科専門医)

 日常生活で物を掴んだり、つまんだり、ひねったりするときには手の指を使います。中でも母指(親指)は5本の指の中で最も使用頻度の多い指です。そして母指の根元の関節であるCM関節は物をつかむ時、つかむ力の10倍の力がかかると言われ、負担のかかりやすい関節です。繰り返しの負担で軟骨がすり減ってしまい、炎症が起きると、関節が腫れたり痛みを生じたりします。これを『母指CM関節症』と言います。病状が進行すると関節の骨に変形をきたし、また、骨を安定させている靭帯が緩みを生じることによりCM関節が亜脱臼していきます。結果として、手が開きづらくなり、手が使いづらくなってしまいます。治療法は手の使い方に気をつけること。強く物を握ったり、つまんだりすると母指に強い負担がかかります。手をなるべく使わないようにすることで症状はおさまりますが、日常生活で手を使わないようにすることは困難です。そこで、母指CM関節の負担を減らすために指の根元を固定する装具を使用します。炎症を緩和するための内服薬や注射療法を併用することもあります。しかし病状が進行し、装具による固定では痛みが取れない場合には手術療法という選択肢もあります。手術は関節の炎症を減らす滑膜切除術の他、関節を固定することで痛みを減らす関節固定術や、関節の動きとバランスを再調整する関節形成術等があります。そして病状の進行状態や手の使い方により、どの治療法が適しているか、人により異なります。大事なことは病状が進行する前に、早めに治療を始めることです。痛い手をかばっているけどなかなか治らないという方は、早めに整形外科を受診して、適切な治療を受けることをお勧めします。

第269回:『 認知症 歯周病で症状悪化』

歯科口腔外科 秋月 弘道
(日本口腔外科学会指導医 日本口腔外科 学会専門医)

 歯周病は「心筋梗塞」「脳梗塞」「糖尿病」「誤嚥性肺炎」などの誘因になることが知られています。認知症の6割を占めるとされるアルツハイマー病は、脳の神経細胞の中にアミロイドβというたんぱく質の「ゴミ」がたまり、神経細胞が徐々に死滅することが原因と考えられています。最近の報告によるとアルツハイマー病を発症するマウスに歯周病菌を感染させて、歯周病ではないアルツハイマー病のマウスの脳と比較したところ、5週間後、歯周病のマウスでは記憶をつかさどる海馬でアミロイドβの量が約1・4倍に増えていて、さらに記憶学習能力を調べる実験でも、歯周病のマウスでは認知機能が低下していたということです。また、名古屋市立大学の道川誠教授によると、歯周病マウスの脳内では、歯周病菌から出ている毒素や免疫細胞が細菌を攻撃するために出すいろいろなたんぱく質(サイトカイン)が増えており、それによって、アミロイドβが作られる量が増えたと考えられることから、「歯周病の予防や治療をすることでアルツハイマー病の発症や進行の抑制につながる可能性がある」と述べています。認知症の多くは70歳代に発症しますが、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの脳への蓄積は発症の10〜15年以上前から始まっていると言われています。認知症の発症予防のためには、遅くとも50歳代で歯周病がコントロールされていなければなりません。もちろん、それよりも早ければ早いほど望ましいことは言うまでもありません。

第268回:『 ヘリコバクターピロリ菌の疑問に関するQ&A』

外科 兼子 順
(東京医科歯科大学医学部臨床教授 日本外科学会専門医/指導医 日本消化器外科学会認定医 日本消化器内視鏡学会専門医 厚労省認定臨床研修指導医)

 今回は、ヘリコバクターピロリ菌に関する皆様の疑問に対してQ&A方式でお答えします。
Q1.ピロリ菌はどのような経路で感染するのですか
A.感染経路は未だ解明されていませんが、胃酸の分泌や胃粘膜の免疫力が充分に発達していない乳幼児期に、保護者の咀嚼による口移し等で経口感染する説が有力です。
Q2.ピロリ菌が存在すれば除菌した方が良いですか
A.ピロリ菌は、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、悪性リンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病など、多くの疾患に関与している事が判明しました。世界保健機構(WHO)も厚生労働省も除菌療法を推奨しています。
Q3.除菌の際に喫煙は関係しますか
A.喫煙者は非喫煙者に比べ約10%除菌率が低下します。現行の日本の健康保険制度では、除菌療法は一生の中で2回まで保険診療が認められています。除菌目的だけではなく健康のためにも禁煙をお勧めします。
Q4.除菌の際に飲酒は関係しますか
A.一次除菌には関係しませんが、二次除菌(一次除菌不成功の方)に使用する薬(メトロニダゾール)がアルコールと相性が悪いとされています。
Q5.除菌成功か否かの判定はどうすれば良いですか
A.胃を切除されていない方は、尿素呼気試験が最も推奨されています。他に便、尿、血液検査でも除菌効果判定が可能です。ただし、それぞれの検査法で効果判定の時期が異なります。また、通常服用している薬によっては効果判定が偽陰性となる場合もあるので、除菌効果判定は熟知している医師にご相談下さい。
Q6.除菌が成功すれば、その後は医療機関にかからなくても宜しいでしょうか
A.除菌が成功しても、長年にわたってピロリ菌に感染していた関係もあり、除菌成功後に胃がんが発生することはあります。諸学会から定期的な内視鏡検査が必要とされています。

第267回:『インフルエンザにマ・手・加!』

総合診療科 山形 健一
(日本外科学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器外科学会認定医 日本癌学会会員)

 例年にない最強寒波の影響で、1月下旬には関東地方も大雪に見舞われ、1月25日早朝には久喜市で氷点下9.2度と28年ぶりに氷点下9度を下回りました。インフルエンザの集団発生は例年12月ごろから始まりますが、今シーズンは11月初旬より感染が全国的に拡大しており、患者数は昨シーズンを大きく上回っています。ワクチンを接種される方も年々増加の傾向にありますが、今シーズンはワクチンの出荷が遅れた影響で、接種を希望されても受けられないという事態が発生しているようです。また今シーズンはワクチン接種を受けているのに感染してしまった方が例年より多いように感じられます。そもそもインフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐものではなく重症化を防ぐものです。また接種から体内に抗体が産生され予防効果が出るまでに2週間ほどかかります。例年はA型の流行が先に来て、そのあと徐々にB型が流行してきますが、今シーズンはA型・B型がほぼ同時に流行しているようです。インフルエンザの特徴的症状は38度を超える高熱・頭痛・吐き気・関節痛・筋肉痛などですが、高齢者では高熱が出ないこともあります。またワクチン接種を受けていると感染しても症状が軽いため感染に気付かず、今度はご自分が感染源となって流行を拡げてしまうことがあるのです。とにかく外出時はマスクの着用、おうちに帰ったらまず手洗い、お部屋の中は加湿してインフルエンザ感染の予防を心がけてください。
 マ・手・加で予防、生涯現役!

第266回:新年のごあいさつ

理事長 前島 静顕 ☆
(埼玉医科大学外部講師 日本外科学会認定指導医 日本消化器外科学会認定医)

 新年明けましておめでとうございます。皆様お健やかに新春をお迎えのことと存じます。
 昨年、わが国では様々なことがありました。北朝鮮情勢は日毎に緊迫の度合いが深まっています。10月の衆議院選挙で、野党の集合離散もあり自公合わせて与党で300超の議席を獲得しました。11月には米国のトランプ大統領が初来日、日米同盟の堅固さをアピールするとともに日米貿易不均衡についてわが国への諸要求を示唆してゆきました。米国のTPP(環太平洋経済連携協定)には参加しないとの方針は、わが国の医療への悪影響が減弱するのかといえば、実は反対です。むしろ日米2国間協議の方がはるかにわが国へは強圧となるでしょう。アメリカファーストの大統領ですから。
 世界の中でも優れたわが国の国民皆保険を基にした医療制度が壊される懸念は増します。4月には診療報酬の改定が予定され、ますます医療を取り巻く環境が厳しくなります。
 そんな環境下わが蓮田病院は本年創立30周年を迎えます。地域医療連携の推進、在宅医療の充実化に一層力を注ぎ、地域完結型の医療の完整を図るべく、職員一同全力を尽くす決意です。
 平成30年は十二支では戌年(いぬ)です。戌年の謂れは 勤勉と努力 真面目な働き者 思いやりと協調性といわれます。その精神で一年を乗り切りたいと思います。
 地域住民の皆様方のご健康とご多幸を心より祈念申し上げます。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
当院の設立の原点である「思いやりのあるやさしい医療」と「最新の高度医療」の実現に向けて努力を続けていきます。

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