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健康セミナー
2009年分

☆は現在在職しておりません。

第169回:腰部脊柱管狭窄症

整形外科 和田 圭司
(日本整形外科学会専門医)

歩行していると足のしびれ、痛みが出現し、休憩すると軽快するという症状が出現していませんか。このような症状を間欠性跛行と言います。中高年者の間欠性跛行の原因は大きく分けて2つあります。一つが閉塞性動脈硬化症、つまり足に行く動脈が細くなり血液が循環しにくくなる病気で、糖尿病患者さんによく起こります。もう一つが今回取り上げる腰部脊柱管狭窄症です。腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎が年齢とともに変形を起こし、腰椎部の脊髄(馬尾)を圧迫することにより起こります。閉塞性動脈硬化症との大きな違いは、腰部脊柱管狭窄症では、前屈姿勢によって症状が出にくいことです。つまり自転車やシルバーカーでは問題ないが、背筋を伸ばすと歩行できないという様な症状です。症状の軽い人では、30分程の歩行は可能ですが、重い人では2~3分しか歩行できません。また原因が腰椎にある為、しばしば腰痛を伴います。
 腰椎のⅩ線写真とMRIを行えば容易に診断できます。治療法は、血流改善薬の内服、ブロック治療、コルセットによる装具療法、リハビリなどです。しかし重症例では上記治療法が無効な事が多く、手術を選択することになります。手術は腰椎が不安定でなければ、脊髄の通り道つまり脊柱管を拡大する手術だけで済みますが、腰椎にすべりや側弯などの変形を伴っている場合は、脊椎固定術も併用します。当院でも、脊椎手術は週平均2件行っています。もし上記症状のある方は、一度当院の受診をお勧めします。

第168回:快適なお通じのために

内科 吉田 正史 ☆
(日本内科学会認定医 日本消化器内視鏡学会専門医/指導医 消化器病学会専門医)

便秘とは便が出ない事、誰もが知っていると思いますが、実は色々な便秘の原因があることは意外と知られていません。簡単に分類すると①腸の働きによる便秘②腸の病気による便秘③腸以外の病気による便秘④薬による便秘が挙げられます。①が一番多いのですが、②ではポリープや癌が隠れていたり③の様に糖尿病や甲状腺機能低下症、パーキンソン病等々が原因であることもあるので、鑑別と原因となる病気の治療が必要です。また④の様に他の疾患で飲んでいる薬が原因で便秘になる事もあります。では、最も身近な①の便秘について詳しくお話します。さらに細かく分けると3種類あり弛緩性(腸管の運動が低下)、直腸性(下まで便が来ているがでない)、けいれん性(腸が小刻みに動く)があります。
 まずは生活習慣と食生活の改善が有効です。弛緩性では消化の良い食べ物だけでなく、野菜やイモ類、穀物など食物繊維の多いものを食べ、朝食後の排便習慣を身につける事が有効です。直腸性には朝食後の排便習慣や、腹筋運動、ウォシュレットなどで排便前に肛門のマッサージをする事が有効です。けいれん性では心理的要因が関わっている事が多いため規則正しい食生活、適度な運動、心身の安定やストレス解消などが有効です。これらでも改善しないときは便秘薬を飲みますが、前途した様に人それぞれ原因が違うため、その人の状態にあった薬を飲む事で快適な排便を得る事ができます。便秘薬は決して皆、同じ薬を使うとは限らないのです。

第167回:頭頚部癌について

耳鼻咽喉科 合津 和央 ☆
(日本耳鼻咽喉科学会専門医)

頭頚部とは聞き慣れない言葉ですが体の頚から上の部分で眼と脳脊髄を除いた耳鼻科で扱う領域です。ここに出来る癌は全体の約5%にすぎませんが、近年増加傾向にあります。
 頭頚部癌の多くは口腔、咽頭・喉頭領域や食道および肺に重複多発する傾向があります。なぜならこれらの癌の原因の多くはアルコールの飲み過ぎとタバコをすう習慣にあるからです。タバコの煙や強いアルコールに触れる粘膜では常に慢性的な炎症がおこっていて細胞の遺伝子に傷がつきやすくなるので、長年多量の飲酒、喫煙を続けていると癌が同時多発することは決して珍しくありません。
 頭頚部癌で最も頻度の高い疾患は喉頭癌です。喉頭癌はとりわけ喫煙との関連が高い癌で、喫煙者には非喫煙者より32倍高い割合で発生すると言われています。また1日に吸うタバコの本数とタバコを吸っている通算年数をかけ算して800を超えると喉頭癌の発癌リスクになるとわかっています。喫煙者で声がれが1ヶ月以上続いて治らない場合は喉頭癌を疑う必要が有ります。喉頭癌は早期に発見されれば放射線治療でたいがい治りますが、進行して発見された場合や放射線治療後に再発した場合はのどを摘出する手術を行わざるをえないことがあります。当然言葉は失われ、患者さんの生活の質は大幅に低下します。近年の技術で声を残す治療法も進歩してきましたが、癌になって治療するより、癌にかからない生活習慣が大切です。タバコは1日1本でも十分健康には有害です。喫煙者の皆様、禁煙について考えてみませんか。

第166回:インフルエンザウィルス大流行の兆し

内科 鷺谷 敦 ☆

【4月・メキシコ】新型インフルエンザが発生し20名が死亡。メキシコ政府が非常事態を宣言。世界保健機構が緊急事態を宣言。
【5月・日本】厚生労働省主導で、特に空路において厳重な検疫を実施。防護服をまとった検疫官が飛行機内や空港を闊歩する姿が連日報道される。発見された感染者を隔離。兵庫県にて海外渡航歴のない高校生多数に感染を確認。水際作戦崩壊。その後は堰を切ったかのように日本各地で感染者が続出した。
【8月・日本】15日には沖縄県にて新型インフルエンザ感染で初めての死者が確認。
【9月・日本】4日の時点で死者10名。

 新型(豚)インフルエンザが報告されてから4ヶ月あまりが経過しましたが、その勢いはとどまるところを知らないように世界中に伝播しています。当院でも週単位で数名のA型インフルエンザ感染者が確認されていますが、症状は季節性インフルエンザとかわりませんので新型かどうかは不明ですが、対症療法のみで特別な治療は行っていません。
 インフルエンザの蔓延に対し、5月の検疫は全く効果を発揮しなかったのでしょうか。そうは思えません。通常なら散発的にしか発生しなかった夏季のインフルエンザの大流行を事前に世間に周知せしめ、個々人の防疫に対する認識を高める結果を生んだことは評価に充分値すると考えます。ただし、感染は持続しておりこれからも多数の感染者が発生する可能性が極めて高いなかで、マスクやタミフルなどの予防や治療に必要な医療資源が空費された感は否めません。
 冬季にかけて、今後は更に感染の拡大が懸念されます。予防ワクチンの供給が10月以降になると思われますので、今後の予防には各人が一層の注意を払う必要があるでしょう。

第165回:様々な原因から生じる口腔粘膜疾患

歯科口腔外科 田中 憲一

くちびるや舌や頬にいわゆる口内炎ができて数日間痛みが続いたことは、ほとんどの方に経験があり、口腔粘膜の異常をアフタ性口内炎と考えて市販の口内炎治療薬を使用したり、そのまま放っておくことが多いと思います。
 しかし実際は、口腔粘膜の病変には、水泡(水ぶくれ)、びらん、潰瘍(組織欠損)、腫脹(はれ)、腫瘤(デキモノ)、白斑、紅斑、はく離(粘膜がはがれる)などの様々な状態があります。
 そしてその原因が、義歯や食べ物による外傷性、ウイルス感染、真菌(カンジダ)感染、などの場合は、視診、問診、検査で比較的容易に診断がつき適切な薬の処方や処置により患者様の苦痛を軽減することが出来ます。また白血病、特発性血小板減少性紫斑病などの血液疾患やベーチェット病、シェーグレン症候群などの免疫に関する疾患の初発症状として出血、紫斑、びらん、潰瘍などの口腔粘膜疾患が生じる場合もあり重篤な疾患の早期発見につながることもあります。
 そしてなかなか治らない粘膜のアレやキズ、デキモノの場合は前癌病変や口腔癌が考えられます。特に出血が続く、ザラザラしている、最近急に病変が大きくなってきた場合は早急に病院で受診するようにしてください。発見が遅れると、治療方法や予後にも大きく影響します。
 しかし口腔粘膜疾患の特徴として歯や飲食による局所刺激や常在菌の感染の影響を受けやすく、1回の診察で確定診断がつきにくい場合もあり注意深い経過観察が必要となることもあります。

第164回:高血圧治療における管理目標値

腎センター 山田 剛久 ☆
(日本内科学会認定医・認定専門医 日本腎臓学会認定専門医 日本透析医学会認定専門医)

「自分の血圧はどこまで下げればよいのか?」外来で診察しているとよくこんな質問を耳にする。
 最近、家庭で簡便に血圧が測れる機器が普及した影響で自宅での血圧を記録した手帳を診察時に持参する患者様が増えている。
 それだけ自身の血圧に関心を持つ患者様が増えてきた訳で結構な事ではあるが、なかには「前の先生にはこれ位下がれば充分と言われたのに今度の先生にはもっと下げなきゃ駄目と言われた。一体何を信用すれば良いのか?」と困惑気味の方もいる。
 日進月歩で進歩する医療の世界にあって高血圧治療の分野も例外ではなく、従来良しとされていた血圧値も患者様の背景(年齢や合併症の有無など)によっては更に下げたほうが良いケースも存在する。
 2009年の高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)によると若年層や中年者の場合、血圧目標値は130/85mmHg未満となっているが、高齢者では140/90mmHg未満となっている。
 また一日に1g以上の蛋白尿を排泄する慢性腎臓病の患者様では125/75mmHg未満が目標となっている。
 紙面の都合上、すべてを紹介できないが要は患者様自身の置かれている状況によって血圧目標値は変わってくるということである。
 高血圧で治療中の患者様は一度かかりつけ医に相談されたい。
 尚、前述のガイドラインは高血圧学会のホームページでも紹介されている。

第163回:ー胸のエックス線検査についてー

放射線科 磯貝 純
(日本放射線科専門医)

6月1日より、蓮田市では肺がん検診が始まりました。40歳以上の方なら、当院の検診センターを受診すれば、簡単に胸の検査が受けられるようになったわけです。そこで今回は、胸のエックス線検査についてお話したいと思います。1895年にドイツのレントゲン教授が、厚紙を通り抜ける未知の線を発見して以来、エックス線は様々に利用されてきました。特に肺結核(労咳)の診断では、胸のエックス線撮影は一躍主役となり、「病気を目で見る」時代に突入することになります。さて、それほどまで歴史が古く、病院では日常的に行われている胸のエックス線検査ですが、とても奥が深い検査でもあります。実際に撮影したり、診断したりするには、多くの経験を必要とし、適切な機械、適切な撮影技術、適切な診断能力が求められます。当院ではフィルムを使用しないデジタルⅩ線撮影が行われており、検診車で行われる間接撮影に比べ、鮮明度が高く、より細かな写真が撮影されています。胸のエックス線写真は骨や血管が複雑に重なり合っているので、画像が鮮明でないと病気を見つけることが難しくなります。もう一つ大切なことは、撮影した写真の保存です。当院ではデジタルで大量の保存でき、過去に撮影した写真と、瞬時に比べることができます。デジタル化されているので劣化したり、紛失したりすることはありません。私は影を読んで(読影)診断する立場ですが、この比較して読影する作業こそが、病気を見つける上で最も大切と考えています。ですので、毎年の検診は、画像保存のしっかりとした施設で受診することをお勧めします。

第162回:胃ポリープ

外科 濱田 節雄
(指導医・専門医・認定医:日本外科学会 日本消化器外科学会 日本消化器内視鏡学会 日本大腸肛門病学会 日本消化器病学会 日本乳癌学会認定医 日本がん治療認定医機構暫定教育医/認定医 日本癌治療学会臨床試験登録医)

胃検診や人間ドックなどで胃の検査を受けると「胃ポリープ」が発見される人は100人に5人くらいの割合です。ポリープというのは、粘膜がイボのように盛り上がったものをいいます。
 大腸のポリープに比べて胃のポリープはほとんどが切除しなくてすむものです。それは胃ポリープの約95%は腫瘍ではなく良性だからです。
 腫瘍でない良性のポリープのうちヘリコバクター・ピロリ菌が関与するものはピロリ菌の除菌によって消失することが知られています。
 大きさは10㎜未満がほとんどで、10㎜未満は癌が混じっている事は無く、切除しなくて大丈夫です。
 しかし、20㎜以上で茎のあるものは約8%に癌が混じっているので、内視鏡で取った方がいいでしょう。また出血で貧血をきたすものや、出来ている場所が胃の出入口だと通過障害をきたすので内視鏡で取った方がいいでしょう。腫瘍でない良性のポリープのうちピロリ菌の関与のないポリープは癌化せず、放置して大丈夫です。
 又、ポリープ全体の約5%ほどを占める高齢者に見られる良性腫瘍の胃腺腫には癌が混じる率が高いので、小さなうちに積極的に内視鏡で取った方がよいでしょう。

第161回:~禁煙のすすめ~

内科 出来 尚史 ☆

 今日は「タバコを止めると健康上どのような良いことがあるか」というお話です。
 禁煙を始めてまず実感するのが「咳や痰が少なくなった」ということ。気道の粘膜がタバコの有害物質から解放されて、本来の正常な働きを取り戻してくれるからです。またそれまで感じていた運動時の息切れも次第に改善してきます。
 禁煙は循環器にも良い影響をもたらします。心臓病や脳卒中など重大な病気で倒れる危険が減るだけでなく、全身の血液の流れが良くなることで生活の質が向上します。
 癌の予防という面でも禁煙の効果は絶大です。タバコの煙には二十種類以上の発癌物質が含まれており、喉頭癌、肺癌、食道癌など多くの癌と深い関連があります。年々増加している癌による死亡。タバコを止めるのに遅すぎるということはありません。
 このほかにも歯科・口腔外科、消化器、産科などさまざまな領域で禁煙のもたらす恩恵が報告されています。
 タバコの煙は喫煙者本人にとどまらず、周りの人にも同じような悪影響を及ぼします。自分の健康、さらに家族や周囲の人の健康を護るという点で禁煙の持つ意義は大きいと言えます。
 ここ一両年、厚生労働省の支援によって禁煙外来を持つ医療機関が増えてきました。新しい治療薬も加わって成果が上がってきています。これから禁煙を、と考えている人にはチャンスです。またこれまで挑戦したことのある方も新たな気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか。専門のスタッフと共に「タバコのない健康な生活」を目指しましょう。是非一度、最寄りの禁煙外来にご相談ください。

第160回:生涯現役をめざして

外科 兼子 順
(日本外科学会認定専門医 日本消化器外科学会認定医 厚労省認定臨床研修指導医)

 わが国では年間約百十万人が死亡し、そのうち三人に一人が、悪性新生物で亡くなっています。
昭和五十六年以降、日本人の死因の一位はがん(悪性新生物)ですが、近年、がんのなかでも、部位別には大腸がんの急増が懸念されています。特に女性の大腸がん増加が著しく、平成十五年には女性の大腸がん死亡数は、胃がんを上回りトップになりました。
 長年、便秘をすると便に含まれた有害物質が腸に長くとどまることで便秘の人は大腸がんになりやすいといわれてきました。大規模疫学調査「便通、便の状態と大腸がん罹患の関連」は平成五年から、全国の四○歳から六十九歳までの男女約六万人を対象に実施されました。結果、便通が「週に二~三回」の便秘グループが、「毎日一回」「毎日二回以上」のグループと比べて大腸がんになる危険率が高くなるということはありませんでした。よって、この俗説が覆され、便秘ぎみの人とそうでない人との大腸がんリスクは変わらないことが判明しました。
 大規模疫学調査「大腸がん検診受診と大腸がんとの死亡率の関係」は、平成二年から平成十五年までの十三年間にわたり、全国の四○~五十九歳の男女約四万二千人を追跡調査し、その結果、大腸がんで死亡した人の危険率は、便潜血検査受診者グループが受診していない人の0.28倍でした。つまり、便潜血受診者は非受診者より約七割も死亡率が少ないということです。
 大腸がん検診を受けることで、大腸がんが早期に発見される可能性が高くなり、死亡を予防できるとされています。

第159回:ードライマウスー

歯科口腔外科 秋月 弘道
(昭和大学客員教授 日本口腔外科学会専門医/指導医 介護支援専門医)

ドライマウスは唾液が少なくなり、口の中が乾燥する病気です。唾液は口の中を潤す、粘膜を保護する、食べ物の飲み込みや味覚の伝達を助ける、口腔内の細菌の繁殖を抑えるなどの働きがあります。唾液が少なくなると口がかわく、口の中が汚れやすい、口臭がひどい、舌や口の中が痛い、しゃべりにくい、食べ物をうまく飲み込めない、味がわかりにくい、むし歯や歯周病になるなどの障害がでます。原因は様々で、①老化による唾液分泌能力の低下、②シェーグレン症候群など唾液腺の病気、③糖尿病、腎疾患など全身疾患や降圧剤、利尿剤、向精神薬などの薬剤の副作用によるもの、④その他、口呼吸や喫煙、精神的なストレス、飲水制限、乾燥した室内など生活環境、などが原因となります。症状が軽度の場合は、口腔清掃をよく行い、水分を多めに取り、うがいや加湿器を使用することにより、改善が見られる場合があります。しかし、症状が重度の場合には、唾液の量や細菌検査、血液検査や唾液腺の病理検査などを行い、原因を明らかにすることが重要です。必要に応じて、唾液の分泌を促す薬剤や抗菌薬、微量元素の製剤などを処方します。さらに、保湿力の高い含嗽剤や唾液に近い働きをもつ人工唾液、夜間の乾燥を防ぐ保湿用マウスピースなどの対症療法を行います。また、口腔の衛生管理を行うとともに、顔面の体操、舌の体操、唾液腺マッサージなども機能の改善に有効です。ドライマウスでお困りの方は、専門病院の受診をお薦めします。

第158回:生涯現役をめざして

理事長 前島 静顕 ☆
(東京医科歯科大学大学院臨床教授 日本外科学会認定指導医 日本消化器外科学会認定医)

新年明けまして、おめでとうございます。昨年はアメリカ合衆国に端を発した、経済破綻が世界中に急速に拡大し、円高が進み、我が国を代表する実に多くの大企業も大量のリストラを余儀なくされる事態となり、世界大恐慌と、かつてない社会不安の出現が心配されております。新しい年を迎えて、世界中の人々が是非協力し合って、人類の平和と繁栄に向かって、回復して欲しいと願うばかりです。さて、昨年はまた、医療の世界でも実に多くの事が話題となりました。代表的なものは、急病の患者様たらい廻しや診療拒否でありました。患者様が不幸な転帰となると、大きなニュースになりますが、実際にはずーっと多くの同様の事象があると思われます。病院の閉鎖も次第に増加傾向にあると報道されています。国は、これらの原因は医師や医療スタッフ不足によるものと結論し、大学医学部学生の定員増を実施しているところです。しかし、わたしたち医療現場にいる者にとっては、大きな疑問を感じているのです。問題の本質が正しく認識されていないのです。学生定員を増やしても、医師として一人前になるには最短でも十年かかるのです。数年前から始まった新臨床研修体制は新卒の若手医師に2年間の研修を義務付けるものですが、この間は一人前の医師としての資格がないのです。より専門的知識と技量を備えるべきとの建前でスタートした制度ですが、これが実際には医師不足の原因や地域格差の原因となり、制度の見直しが検討されているのです。さらに社会全般に専門医指向が一段と強くなり、医療訴訟問題も複雑にからんで、診療拒否などが頻発していると思われます。病院勤務の医師や看護師が常にハードな仕事に追われ続け、1日の勤務時間が十二時間以上となる事もしばしばあり、このハードさが限界と感じた医師達は病院勤務医から、開業医へと方向転換をして行く傾向になっています。又はハードな救急病院から慢性期医療中心の療養型病院や、老人病院、介護型病院への勤務に変わっているのです。最も、人の命を左右する急性期のハードな対応を要する急性期病院を担う医師不足を解決するために早急に考えるべき対策は何だと思われますか?ずばり、それは医療費の値上げであります。はっきり申し上げて、現在のすべての医療保険点数を最低2倍にする事こそ急務であります。これが実現されてもアメリカの医療費の1/3程度だと皆様是非知っていただきたいと思います。官僚達の無節操な税金の無駄遣いを厳重にチェックしてこれを日本の医療に充当してもらいたいと切望するものです。これにより診療拒否や不幸にあう患者様がずーっと少なくなると確信します。本年は医療の諸問題につきそれぞれの診療科の立場から先生方に解説をお願いしました。

当院は今後さらなる医療の発展のため、ソフト面の整備の充実をはかり、
当院の設立の原点である「思いやりのあるやさしい医療」と「最新の高度医療」の実現に向けて努力を続けていきます。

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