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『薬剤性顎骨壊死(MRONJ)てなあに?』
~最新の顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023から~

  • 2023.04.30

 歯科口腔外科 秋月 弘道 (日本口腔外科学会指導医/専門医)

 骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート製剤に関連しておこるBP関連顎骨壊死(顎の骨が死んでしまう病気)は増加しています。しかし近年、それ以外の癌や関節リュウマチに使用されるデノスマブ(Dmab)製剤、ロモソズマブや血管新生阻害薬、免疫調整薬、骨吸収抑制薬などの骨に関連する治療薬でも同様の症状が起きることがわかり、これらは薬剤性顎骨壊死(MRONJ)と呼ばれるようになりました。この病気が起こる頻度は悪性腫瘍に関連するもので数%、骨粗鬆症では0・1%と推定され、それほど高いものではありません。症状は、初期では軽度の疼痛や歯肉の腫脹が生じ、進行とともに骨の露出や炎症の悪化、さらには顎の骨折や皮膚から排膿が起こることもあります。これらの症状はおもに口腔内に見られますので、おもに歯科や口腔外科で診断加療されています。薬剤性顎骨壊死は、お薬を使い始める前に口腔内を精査して虫歯や歯周病を治療し、適切な口腔ケアをおこない細菌感染を防ぐことで予防できます。また、お薬を使用中に抜歯をする場合は、従来、予防的に一時的に休薬していましたが、最新の知見では休薬の有用性を示すエビデンスはなく発症リスクがとくに高い場合をのぞき、薬を止めずに抜歯をする方向に変わってきています。治療法については、軽症では抗菌薬の投与などでよくなる場合も多くあります。重症例では腐骨の除去など外科的治療がおこなわれます。治療は患者の希望や全身状態等を考慮して決定されます。これらのお薬は飲み始める前に歯科で治療すませ、口腔ケアを継続することで予防することができます。万一、病気が起きてしまった場合には早期に治療することによって顎骨への障害や侵襲および機能障害を最小限にすることができます。

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